すりたてを、
最後まで。
薬味をおろしたあと、胡麻をすったあと。道具に残る“あとちょっと”。
惜しいけれどどうにもならず、菜箸でこそげたり、指先でぬぐったり。それでも結局、僅かに残ったものを水で洗い流す。
これまでの当たり前が、この道具に出会ってはじめて実はずっと腑に落ちないものだったと気づいたのです。
「薬味寄せ 淡竹」とは、掻き出し専用の小さな道具。
専用だけあって、繊細な繊維を傷つけることなく、薬味や胡麻をふわっとすくい上げてくれます。
香りの強い食材にも気兼ねなく使えて、手も汚れず、使ったあとはさっと洗ってまたすぐ使える。
そんな軽やかさも兼ね備えています。
掻き出すときの柔らかな動きに、どこか既視感があると思えば、茶筅づくりの過程で、先端が曲がるなどして使われなかった竹を転用しているのだそう。
学生時代、あの繊細な茶筅でお茶を点てた記憶が、ふと甦りました。
使ったあとの洗いものまでが気持ちよく完結するのは、こうした一本があるからこそ。
大きな道具ではないけれど、使えば確かに“効いてくれる”。
そんな一品として、おろし金やすり鉢のそばに、ぜひ添えてください。
料理・文:栗山 萌
写 真 :天神 雄人
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