どんぶりではなく、
「丼鉢」であるからこそ。
濃厚なタレに絡めたお肉を白米に乗せて食べたい日もあれば、汁物だけで済ませたい日もある。
そんな気まぐれを、ゆるっと受け止めてくれる器というのは大変心強いものです。
「丼鉢」とは単なるどんぶりではなく、汁もの・麺類・丼ものにも合うように作られた懐の広い器のこと。
どんぶりほど料理を選ばず、鉢よりもしっかり頼れる。
この塩梅こそが丼鉢の好きなところであり、我が家での出番も多い理由です。
使われているのは天草陶石。
波佐見焼ならではのきめ細やかな白磁で、光の角度によって淡く青みを含む透明感があります。
素材だけを見れば無機質に映りそうなものですが、手描きの呉須(青い)の線がその印象をほどよく緩和。
ところどころ薄かったり、濃かったり、滲んでいたり。
かたすぎず、やわらかすぎずの絶妙なバランスに仕上げてくれています。
「無地」を楽しむか
「寿」を添えるか。
種類は無地と、中央に「寿」の文字が入った二種類。
無地は白磁の澄んだ質感と呉須のラインが際立つため、単に“模様がない”のではなく、丼鉢そのものを存分に楽しむ選択だと思います。
「寿」の文字は、漢字の始祖ともいわれる篆書(てんしょ)体にて描かれています。
古くから吉祥や祝いの場で用いられてきた歴史ゆえか、この文字ひとつで工芸品のような重さがぐっと増します。
テキスト:栗山 萌
写 真 :天神 雄人
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