はじめての一揃いに
物欲とは尽きないもので、お茶を淹れる道具が一通り揃ったら、今度はそれをいただくための器にも目が向くものです。
丁寧に淹れたお茶だからこそ、迎える側もまた、きちんとしたものでありたい。
そんな気持ちが、静かに湧いてきたときに。
どちらもごくシンプルで、特別な主張はありませんが、手に取った瞬間のしっくりとした馴染み方。口をつけたときのやわらかさ。
きちんと考えられたかたちの気持ちよさが、じんわりと伝わってきます。
自分用に、というのが少し気後れしてしまうときは「いつかの来客用に」と理由をつけてみるのもひとつ。
ただし、一度開けてしまえば、すぐにでも使いたくなってしまう点にはどうかご注意を。
もてなしの湯呑み。
熊本・天草の陶石を使い、長崎・波佐見の窯で焼きあげられた汲出し。
「汲出し」という名は、かつてお茶やお湯を“汲んで出す”所作から名付けられたもの。
ふっくらとした胴は手のひらに自然とおさまり、口縁のわずかな反りが唇をやさしく受けとめてくれます。
誰かをもてなす場面にも、自分のための一服にも、そっと寄り添ってくれる道具なのです。
一服を受けとめる、
小さな台座。
茶托は、新潟・燕の工房で、銅に錫を引いて丁寧に成型されたもの。
地金の落ち着いた重みと、やわらかく光を受けとめる錫の質感が、器をそっと引き立ててくれます。
中央には、直径40mm、深さ5mmのくぼみがあり、湯呑みを安定して受け止める形状。
汲出しとの相性はもちろん、ガラスのコップや他の茶碗ともよく馴染みます。
錫は非常にやわらかい素材のため、表面には細かな擦り傷がつきやすい性質があります。
新品でも細かな線が見られることがありますが、使うほどに少しずつ渋みを増し、落ち着いた表情に変わっていきます。
いずれも良品としてお届けしておりますので、ご了承いただければ幸いです。
テキスト:栗山 萌
写 真 :天神 雄人
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