料理をちょっと、
自由にしてくれる器。
白吉に料理を盛ると、「きれいに整えなきゃ」と気負う気持ちが薄れていきます。
ちょっと盛りすぎても、汁が広がっても、具材が片寄っても、それを許してくれる空気がある。
だからこそ、普段より肩の力が抜けて料理に向き合える気がするんです。
堂々とした3.5cmのリムは厚みがありながらも、立ち上がりは緩やか。
料理と器の境目をはっきり線引きせず、ふわりと曖昧にしてくれます。
そこに温かみを帯びた白と、焼成のときに顔を出す黒い点(鉄粉)、ほんのわずかな歪み。
均一に揃っていないからこそ、かえって自然で、安心できる雰囲気が漂うのだと思います。
カツカレー:白吉 / カトラリーレスト:カトラリーレスト 流星 / 箸:HASAMI season 1(レッド・マスタード)
形のもとは、清朝時代のオーバル皿。
宮廷や宴席で大皿料理を受け止めていた歴史あるかたちです。
当時の器は「高嶺(カオリン)」と呼ばれる白い石を原料にしたものが多く、透き通るような白さと、張りつめた冷たさをまとっていたと言われます。
宮廷の格式にはよく似合う美しさですが、その緊張感は日常には少し遠いものだったかもしれません。
その形を現代に写すにあたって選ばれたのが、天草の土。
波佐見焼きの原料としても知られるこの土は、澄んだ白さを持ちながら、光を受けるとやわらかい陰影を生みます。
ほんのり温度を感じさせるその色が、古い形をぐっと身近なものにしてくれるのです。
さらに天草の土には鉄分が含まれていて、焼くたびに黒い点(鉄粉)が現れます。
出る場所や数はそのとき次第。きちんと揃わないことが、この器の表情をつくっているのです。
オムライス:白吉 / スプーン:れんげスプーン
成形は「たたらの型打ち」。
板状にのばした土を石膏型に押し当てて形を起こす方法で、ろくろとは違い、どうしても個体差が生まれます。
縁の立ち上がりが少し強かったり、面の張りがやわらかかったり。
けれどその違いは欠点ではなく、むしろ一枚ごとの個性として愛おしく映ります。
完璧さを目指すのではなく、不揃いをそのまま残す。
そうして仕上げられた白吉は、料理のちょっとした不格好さもそのまま受け止めてくれる。
「きれいに作らなきゃ」より「これでいいよね」と思わせてくれる。
それは偶然ではなく、最初からそう仕立てられた器の計画通りなのかもしれません。
テキスト:栗山 萌
写 真 :天神 雄人
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